PEACEis___
明るい空の下でゆっくりと深呼吸をして
楽しげな未来を想像する。
僕たちはそんな瞬間を忘れてはいないだろうか?
ピースの意味は時代や場所、
様々な立場で変化するのだろうか?
今この瞬間にも
カオスに巻き込まれ生きる友人がいる。
彼らが見失ったピースを
僕たちは持っているのだろうか?
僕たちは、遠い国の友人やあなたと一緒に
ピースを探す旅に出ようと思う。
カオスとコスモスの渚を歩き、
絶望を希望へと変えるために。
2019.Jun.01
PEACEis___
このプロジェクトの最終目的は「中央アフリカ共和国の平和構築」
それは写真だけでは決して解決することのない「平和」への渇望だった。
同国で続く内戦を記録し続けてきた写真家は現地の人々が決して憎しみ合って戦い続けているのではないことを知る。
どうすれば争いの無い平和な国を創ることが可能なのか?
そして青木は現地の人々と何度も何度も話し合いを重ねて1つの答えに辿り着く。
「雇用を生み出すこと」
争いを続けなくても人々が明日も生きていけることが平和への第一歩だと知る。
何度も話し合いを続け、どんなものなら現地の人々が無理することなく、ストレス無く続けられるのかを探した。
最も大切なことは「継続可能な支援」と「現地の人々がこのプロジェクトの主役」であること。
現存するこれまでの支援の形のように何かを与え続ける支援ではなく、外国の物差しで押し付ける価値観でもなく、主役は現地の人々。
同国を平和にするのも豊かにしていくのも、そしてこの国を救う英雄はそこに暮らす現地の人々。
PEACEisはあくまでも現地のサポートである。
今、プロジェクトの第一弾として「養鶏場」が始まった。
そして同国で争い続けているキリスト教徒とイスラム教徒を「養鶏場の雇用」を通じて手を結ばせることに成功する。
物語は始まったばかり...
►養鶏場施設 6 棟を完成
PEACEis は 2022 年バンギからボアリ・ヤロケ方面に向かう幹線道路にほど近いカッセンベ(Kassembe)地区(PK40)に 10 ヘクタールの土地を購入。2023 年夏には6棟の養鶏用の建物を建設した。最大 19,000 羽のヒナを 7-8 週間で市場に提供できる鶏に育てる。また、PEACEis は敷地内 3 ヶ所に井戸を掘り、内 1 ヶ所を近接する村落の住人に提供した。
►バンギとボダ(BODA)で卸し先となる市場の交渉
鶏を育て市場に出し、その利益で養鶏場に関わる住民の方々への給与を支払い、事業を拡大していく、というビジョンから、比較的大きく継続性のある卸し先を検討。質の良い鶏肉のニーズは非常に高く、バンギにおけるムスリムコミュニティと連携し、彼らを通じて広くバンギの市場に供給し続けるよう交渉を開始した。さらに、ボダ(ダイヤモンド鉱山が多く、多くの方がダイヤモンド鉱山に従事)の住民との交渉を開始し、卸し先として検討している。養鶏事業にキリスト教徒とイスラム教徒双方が関わる仕組みを作り、双方に募る不信や拒絶を解き、相互理解と共存を促す一端とする。
►中央アフリカ政府の関連省庁との連携強化
PEACEis は中央アフリカ政府との継続的な連携を目指し、関連省庁とのネットワークを築いてきた。PEACEis が目指す、食料の安全保障や安定した雇用、平和構築は政府との連携なくして得られない。写真は代表青木がフェリックス首相と面会し PEACEis を紹介した時のもの。フェリックス首相をはじめとする政府要人からは歓迎とサポートの意向を示していただいている。
中央アフリカ国営TVに出演し、国民にプロジェクトの発足と将来について語りかける青木。
►日本での活動としてPEACEisが3年連続で外務省主催の「グローバルフェスタJAPAN」に出演、参加。中央アフリカの現状を伝える活動を継続。
日本外務省が主催するグローバルフェスタJAPANに代表の青木が 21・22 年に引き続き、フォト・コンテストの審査員として参加、また中央アフリカにおける作品(写真等)を展示し、紹介した。
►養鶏場における鶏飼育に必要な機材や施設を準備
鶏のヒナを持ち込む前に、餌の保管庫や餌箱など飼育に必要な機材を準備する。餌の安定した価格での購入のため、業者との⾧期的な契約を交渉中。
►パイロット事業として、第一陣のヒナを輸入
パイロット事業のため、ヒナを空輸して養鶏場に持ち込み、飼育を開始する。(11 月開始のため準備中)。ヒナの輸入については、信頼のおける仕入先と空輸方法(エアライン)を検討している。将来的に受精卵を持ち込み現地で羽化させることも念頭に入れている。
►鶏を市場に出すための輸送方法の準備
2024年6月末現在
・ベルギーから5,000羽のひよこ、飼料、家禽用医薬品を調達(2024年4月)
・14名のスタッフで鶏の飼育の第1期を開始
・5,000羽のひよこを成鳥まで育て死亡率は2.6%
・イスラム教コミュニティとの新しいパートナーシップによりバンギの市場開発が強化
・約13,000,000 CFA(約20,000€)の売上を達成
►5,000羽のひよことその餌の調達
PEACEは海外から直接ひよこを調達する選択肢を検討した後、ベルギーから卵を輸入している現地企業から5,000羽のひよこを調達することに成功。また専門家と綿密に相談して鶏の餌と必要な薬を購入。
►45日間で体重2.5~3kgの成鳥に育てたひよこ
ひよこの飼育は養鶏専門家の監督の下、現地で雇用された14名のスタッフによって開始された。
最初の21日間は極めて重要で、スタッフは頻繁に餌を与え、温度管理などの環境を整えるなど、細心の注意を払う必要がある。
出荷となる45日間の時点でひよこは体重2.5~3kgの鶏に成長し死亡率は2.6%だった。
(世界の平均死亡率は5~10%、日本では2~5%)
PEACEisチームと鶏舎のあるカッセンベ村の人々
・継続して養鶏第2期をスタートさせる。
・生産数と現地雇用をさらに増やす。
・現地市場のニーズに基づいて鶏肉を定期的に供給する。
・安定調達のため飼料や医薬品の供給業者との提携を検討する。
►新しいパートナーシップで販売市場を開拓
PEACEis は、イスラム教徒のコミュニティを含むさまざまな相手と新しいパートナーシップを築き、鶏の販売市場を開拓。
パートナーは卸売業者を通じて国内の販売ルートを開拓した。
さらに、PEACEis はバンギ内のさまざまなホテルやレストランと契約を結ぶことに成功。
約13,000,000 CFA (約20,000€)の売上を達成する。
►得られた経験を活かし、数を増やして第2期に進む。
第1期で、PEACEis は中央アフリカ共和国での鶏の生産に関する幅広いノウハウを獲得。また販売と調達のパートナーシップを拡大。
PEACEis は鶏の数を増やし、現地の雇用を増やして第2期に進み、中央アフリカ共和国の人々に高品質の鶏肉を安定的に供給することに貢献することを目指す。
中央アフリカ共和国 初「奇跡の養鶏場」
第1ターム結果
2024年4/20〜6/4(45日)
5,000羽
平均体重: 3,2kg
死亡率: 2,6%
売り上げ: 約20,000€
今後の方向性
・養鶏2期目タームをそのまま継続していく。
・生産数と現地雇用をさらに増やす。
・現地市場のニーズに基づいて鶏肉を定期的に供給する。
・安定した調達のために飼料と医薬品の供給業者とのパートナーシップを模索する。
はじめての展覧会
子どもたちから見た中央アフリカ共和国
大量のスケッチブックとクレヨンを持って行き、中央アフリカの子どもたちとアートワークショップを行う。
アートワークショップという名ばかりのお絵かき大会。
彼らは絵を描く機会も学ぶ場もなかったはずなのに素晴らしい作品をうみだしてくれた。
この時気づかされた事がある。
子どもたちは実際に目にしたものしか描くことが出来ないということを。
日本の子どもたちと違い、パソコンやテレビがないためにここに描かれていたのは子どもたちが直接目で見たものなのだった。そこには現在の「中央アフリカ共和国の日常」が描かれていた。人、花、食べ物、戦闘ヘリコプターetc...
子どもたちの絵は内戦が続いている国であるという現実だということを僕らに改めて思い出せてくれる。
闇を感じさせる内容であっても彼らはとても楽しそうに描いていた。
そこにこの国の未来があるように感じる。
彼らにはこれからたくさんの美しいものを見てたくさんの美しい絵を描いてほしいと願う。
みんな笑顔でチェ〜キ!
子どもたちが伝える平和への1枚
武器からカメラへ対立を乗り越えた奇跡の瞬間
「お友だちを撮ろう!」
「普通にお友だちを撮るんじゃなくて目の前にいる新しいお友だち、そう、クリスチャンの子どもたちならムスリムのお友だちを、ムスリムの子どもたちならクリスチャンのお友だちを撮影するんだよ。
もちろん撮影するときには黙って撮ったりしないよね?声をかけて笑顔で自己紹介してから撮るんだよ。なぜかって?そりゃお友だちの素敵な笑顔の写真を撮るためさ!」
それぞれの宗教の子どもたちを集めてインスタントカメラ「チェキ」を通じてのコミュニケーションの大切さを伝える。
最初は、どの子どもたちも初めて会う知らないお友だちを前に緊張していたし、初めて目にするカメラの使い方もよくわからないで恐る恐る。
でもやっぱり子どもたちはさすがです!
あっという間にカメラの使い方も覚えて、新しいお友だちともすぐに打ち解けていった。
少し大きなお兄ちゃんやお姉ちゃんが小さな子たちの面倒をみながらカメラを触らせてあげたりしている。改めて子どもたちが本来持っている力に救われた。
この国の未来を創っていくのは子どもたち。
カメラのおかげで奇跡が起こった。少しだけこの国に平和が近づいたように感じた。
何より子どもたちの楽しそうな顔を見てるとそれだけでも意味があったんだと思える。
最後はみんなで集まって全員集合写真。
みんないい顔してる!
合言葉は
「笑顔で、はいチェ〜キ!」
※ クリスチャン(英語表記:Christian)・キリスト教徒のこと
※ ムスリム(英語表記:Muslim)・イスラム教徒のこと
泥まみれのメッセージ
「写真は素晴らしいコミュニケーション」
もちろん今でもそう信じているし、その力にこれまで何度助けられてきた。でも最近は思う。
「ちょっぴり足りない」じゃないかって。
コミュニケーションって一方通行じゃ成り立たない。
可視化されたプリントを通じて、みんなで囲んで自由に語らうなかで新たな信頼が生まれる。
心が和み膨らむ。笑顔や希望が生まれる。
キリスト教、イスラム教といった宗教に関係なく対話が形成されていく。
そんな光景に気づくと、ふと涙が溢れていた。
これらが写真の原点であって、本当の「写真はコミュニケーション」だと思う。
以前ここで撮影した写真を鉱山の労働者たちに見てもらうこと。
自分たちの美しさに気づいてもらえたら最高だなぁと思った。
少し労働を中断してもらってプリントを手渡す。
作業中だったから彼らは全身泥まみれだったけど、何も気にしないで無意識でプリントを見てもらった。汚れても構わない。
最初は少々緊張した。
彼らは自分たちの撮影された姿を見てどんなふうに感じるんだろう。
少しの不安はすぐに吹き飛んだ。
プリントを囲む労働者たちの顔から笑顔が溢れ、照れ臭そうに会話する姿を見ていると、この写真でのコミュニケーションは間違ってなかったんだと思えた。
僕の写真が持つ本来のあるべき姿に戻った気がした。
全てのプリントがあっという間に泥だらけの手で揉みくちゃにされ、泥にまみれ、ぐっちゃぐちゃになった。
そんな写真の中で1番泥だらけになってボロボロになった1枚がある。
言いかえれば、被写体になってくれた彼らが1番気に入ってくれて興味を持って見てくれて、触ってくれた作品ということになる。
これがまた新しいメッセージとなって日本、世界中に伝わることを願わずにはいられない。
必ず深いコミュニケーションが交わされることを期待せずにはいられない。
あなたのPEACE(平和)とはなんですか?
身近な小さな想像からPEACEを考えてみませんか?
中央アフリカ共和国は文字通りアフリカ中央部に位置しており、この国で採掘されるダイヤモンドを巡って現在も続く長い内戦で苦しんでいる。
距離的にも心理的にも遠いこの国にもしかしたら大半の方々は負のイメージを持っていて、自分の生活には関係ないと思われているかもしれない。
プロジェクトのひとつで、みなさんに描いてもらっているPEACEisカード。
そこには「あなたにとってのPEACE(平和)とはなんですか?」をそれぞれ思い思いに描いてもらっている。
生々しく痛々しい答えを想像していたけど、彼らの「平和」はとても哲学的でもあり、詩的であった。
これらは内戦で苦しむ中央アフリカ共和国の人々から教えてもらった「PEACE」
それぞれのPEACEを感じるままに想像してもらえたら幸せである。
その想像力があなたと遠いアフリカのみんなを繋いでくれると信じて...
親愛なる友へ
僕らは取材者と取材対象者として出会った。
カメラを握りしめて震えていた僕は君の眼にはどんな風に映っていたんだろう。
ある日、そんな僕に手を差し出して君の心の中の声を聞かせてくれたね。
その物語は優しくてゴツゴツしてて途方もなく大きくて、そしてとてもキラキラ輝いてた。
聞きたく無い様な悲しみに満ちた声もあれば、
聞いた瞬間に「君に会えて良かった!」と思うくらい嬉しい声もある。
今まさに歴史を動かし生きている君と一緒に未来をクリエイトし、
その瞬間を記録していけるなんて、
写真家としてこんなに幸せなことはないよ。
どんな瞬間も君となら特別で、かけがえのないものになる。
僕は写真家として真撃に君の未来と笑顔をアーカイブしていくことを約束するよ。
Best regards
写真家 青木弘
中央アフリカ情報